概要
12月は、年内最後の株主優待の権利月です。上場企業の決算期としては、3月に次いで多い月でもあります。権利落ちの1月に値下がりしている銘柄があると、産まれたてのNISA枠で買いたくなっちゃいますね。
今回は、12月権利の優待実施銘柄から、次の3社をピックアップしました。
- マブチモーター(6592):厚い財務基盤と、フィジカルAIにつながるロボット向けモーターに期待
- ヤマハ発動機(7272):長期保有優遇と、欲しいものを柔軟に選べる優待が魅力
- フルテック(6546):再開発による自動ドア設備需要と、保守契約を積み上げて稼ぐ事業構造に注目
このシリーズでは、私の保有株の中から、次の基準で銘柄を紹介します。
- 優待のお得感や個性があるか:優待額だけでなく、使いやすさや選ぶ楽しみ、その会社ならではの特徴も重視します
- 長く持てる理由があるか:財務の健全性や事業の強み、今後の成長への期待を確認します
それぞれの優待と、長期保有に期待する理由、気になる点を紹介します。
マブチモーター(6592):厚い財務と、フィジカルAIへの期待
マブチモーターは、自動車の電装機器や生活用品などに使われる、小型モーターを手がける会社です。私と同じミニ四駆世代の方は、お世話になったのではないでしょうか。

株主優待:QUOカード、地域の特産品
株主優待は、本社のある千葉県や創業の地・香川県など、会社にゆかりのある地域の特産品が用意され、選択式になっています。
ただし、500円・1,000円相当の場合はQUOカード一択になるので、特産品をもらうには400株以上の保有が必要です。
2025年12月末の株式分割(1→2)に伴い、2026年12月権利からは優待の株数区分が変わっています。
| 保有株数 | 保有期間条件 | 優待内容 |
|---|---|---|
| 100~199株 | 1年以上 | 500円相当のQUOカード |
| 200~399株 | 1年以上 | 1,000円相当のQUOカード |
| 400~799株 | 1年以上 | 2,000円相当の商品(選択式) |
| 800~3,999株 | なし | 2,000円相当の商品(選択式) ※1年以上保有で4,000円相当 |
| 4,000株~ | なし | 2,000円相当の商品(選択式) ※1年以上保有で4,000円相当 ※3年以上保有で8,000円相当 |
株数によって保有期間条件・優待品・長期優遇有無が変化する、やや複雑な制度になっています。条件をよく確認しましょう。
優待利回りは決して高くないですが、1年以上保有時は100・200・400・800株ですべて同じ利回りになります。利回り面だと100株一択になりがちな銘柄が多い中、買い増しを検討できる制度設計になっています。商品が選択式に進化する400株まで買い増ししたいところですね。
長く持ちたい理由:財務の厚さとモーターの可能性
マブチモーターで目を引くのは、2026年6月末時点で84.1%という自己資本比率の高さです。総資産の8割以上を自己資本で賄っており、借入金などの負債への依存が小さい財務構成です。
景気の悪化に耐える余力に加え、研究開発や設備投資、M&Aなど、将来の成長に資金を振り向けられる点も、長期保有するうえで心強く感じています。もちろん、株主還元に回す余力があると捉えることもできます。
もう一つの注目すべきは、フィジカルAIにつながるロボット向けモーターです。
AIが周囲の状況を判断できても、現実の世界で物を運んだり、つかんだりするには、実際に動かすための部品が必要です。同社は協調ロボット向けの拡販を進めており、コンビニの商品陳列ロボット向けでは、すでに受注を獲得しています。モーター単体に加え、制御やユニットを含めた提案にも取り組んでいます。
ロボットの活用が広がれば、こうした「動きを生み出す技術」の出番も増えるのではないか。そこに、長期保有の楽しみを感じています。
気になる点:期待が利益になるまでを見守りたい
ロボット向けの展開に期待はしていますが、それがどの程度の売上・利益につながるかは、これから確認していく必要があります。
また、自動車向け需要や為替の変動も気になるところ。ロボット分野の将来性が注目されても、既存事業の業績が悪化すれば、会社全体の利益は伸び悩む可能性があります。
ヤマハ発動機(7272):長期優遇と、選べる楽しみ
ヤマハ発動機は、二輪車や船外機、産業用ロボットなどを手がける会社です。バイクのイメージが強いですが、海でも工場でも活躍しています。楽器のヤマハ(7951)とは別の上場企業です。

株主優待:ポイント制で食品や商品券などを選択
株主優待は、保有株数と保有期間に応じてもらえるポイントで、好きな優待品を選ぶ方式です。
| 保有株数 | 1年以上3年未満 | 3年以上 |
|---|---|---|
| 100~299株 | 1,000ポイント | 3,000ポイント |
| 300~999株 | 2,000ポイント | 4,000ポイント |
| 1,000~2,999株 | 3,000ポイント | 5,000ポイント |
| 3,000株~ | 4,000ポイント | 6,000ポイント |
2026年12月権利からは、1年以上の継続保有が必要になります。3年以上保有した場合のポイント増額が大きく、長期保有を重視する制度だと言えます。
優待品には、グループ会社所在地の名産品や、二輪車・マリンレジャー関連のものがあります。静岡県のご当地アイテムとして「炭火焼レストランさわやか」の商品券なども掲載されています。
ポイントの範囲で欲しい商品を組み合わせて柔軟に選べるところが魅力です。例えば3,000ポイントあれば、3,000ポイントの商品を1つ選ぶだけでなく、1,000ポイントの商品を3つ選ぶこともできます。
100株でも3年以上保有すると3,000ポイントになるので、長期優遇によって、商品の選択肢だけでなく組み合わせの幅も広がります。
長く持ちたい理由:世界の移動と、海・工場を支える事業
事業面で期待しているのは、新興国の二輪車需要と、船外機を中心とするマリン事業です。
日本では趣味として乗るイメージもあるバイクですが、生活や仕事の移動手段として欠かせない地域もあります。そうした需要を世界で取り込める点に、長期的な成長の余地を感じています。
2026年上期は、売上収益が前年同期比17.2%増、営業利益が88.6%増となりました。新興国を中心とした二輪車の販売増に加え、マリン事業でもアジアの船外機販売が伸びています。
さらに、工場の自動化を支えるロボティクス事業も持っています。人や物を動かす技術を、道路や海だけでなく、生産現場にも展開できるところが面白いですね。二輪車とマリンで稼ぎながら、次の成長分野を育てていくことに期待しています。
気になる点:業績の波と、増益の中身
世界で事業を展開するため、各国の景気や為替、関税などの影響を受ける点は気になります。生活の足としての二輪車と、レジャー用途の製品では需要の動き方も異なるため、事業ごとの状況を確認したいところです。
2026年上期の大幅増益には、円安や米国追加関税の還付なども寄与しています。増益率だけで判断せず、販売数量や採算の改善がどの程度進んでいるかを見ていきたいです。
優待も、3年以上の優遇を受けるには時間がかかります。優待の増額を待つ間も、事業に期待して持ち続けられるかを大切にしたい銘柄です。
フルテック(6546):再開発需要と、保守で稼ぐ事業構造
フルテックは、自動ドアやステンレスサッシなど、建物のエントランス周りの設備を手がける会社です。販売・設計・施工に加え、設置後の保守・修理まで対応しています。
普段は意識せず通り抜けている自動ドアですが、その向こう側には、設置して守り続ける仕事があります。マブチモーターやヤマハ発動機に比べるとマイナーな企業ながら、縁の下の力持ち的な魅力があります。

株主優待:QUOカード。1年以上で増額
株主優待は、保有株数と保有期間に応じたQUOカードです。
| 保有株数 | 1年未満 | 1年以上 |
|---|---|---|
| 100~499株 | 1,000円分 | 2,000円分 |
| 500~999株 | 2,000円分 | 3,000円分 |
| 1,000株~ | 3,000円分 | 4,000円分 |
100株でも、1年以上保有すると1,000円分から2,000円分に増えます。 マブチモーターやヤマハ発動機とは異なり、1年未満でも優待の対象になります。
どの株数区分も長期保有による増額は1,000円分なので、優待の効率では100株が魅力的です。内容は無難なQUOカードながら、保有期間条件なし・1年以上で長期優遇発動と、早熟型の株主優待って感じですね。
長く持ちたい理由:再開発需要と、積み上がる保守契約
フルテックで期待しているのは、都市の再開発に伴う自動ドアやエントランス設備の需要です。新しいビルや商業施設の建設が、同社の受注機会につながると考えています。
さらに魅力を感じるのが、設置後も保守・修理で継続的に収入を得られることです。自動ドアは、安全に使い続けるためのメンテナンスが必要です。保守契約を積み上げることで、工事を受注したときだけでなく、その後も長く顧客との関係が続きます。
実際、2026年上期は保守契約と修理売上の増加により、メンテナンス売上が好調でした。設置済み設備が、将来の仕事にもつながる構造です。
新設需要に加え、既存設備の保守やリニューアルも取り込める。建てるときと、使い続けるときの両方に仕事がある点に、長期保有の魅力を感じています。
気になる点:保守が好調でも、工事の採算で利益が動く
一方で、2026年上期の営業利益は前年同期比89.8%減となりました。大型赤字物件の増加や、収益性の高いリニューアル売上の減少、人件費・システム関連費用の増加などが響いているとのことです。
保守契約が積み上がっていても、新規工事で損失が出れば、会社全体の利益は圧迫されます。ストック型の事業を持つことと、会社全体の利益が安定していることは、分けて考える必要があります。
再開発による受注の増加だけでなく、適正な価格で受注し、利益を残せるかにも注目しています。保守契約の伸びとあわせて、工事の採算改善やリニューアル売上の回復を確認していきたいです。
まとめ
| 銘柄 | 100株での優待 | 長く持ちたい理由 | 気になる点 |
|---|---|---|---|
| マブチモーター(6592) | 1年以上:QUOカード500円分 | 厚い財務基盤と、ロボット向けモーターへの期待 | 自動車需要・為替の影響、新分野の収益化 |
| ヤマハ発動機(7272) | 1年以上3年未満:1,000ポイント 3年以上:3,000ポイント | 優待ポイントの柔軟性と、新興国の二輪車・マリン事業の成長 | 世界景気・為替の影響、長期優遇までの待ち時間 |
| フルテック(6546) | 1年未満:QUOカード1,000円分 1年以上:2,000円分 | 保守契約の積み上げと、再開発・設備更新の需要 | 大型工事の採算悪化、足元の大幅減益 |
今回の3社は製造業寄りの選出になりました。二輪車や自動ドア、それらを動かすモーターといった、暮らしや産業を支える企業が並んだ形です。偶然ながら、関連性がある3社で興味深いですね。
優待が届く楽しみと、事業の成長を見守る楽しみ。 その両方を持てる銘柄を、これからも少しずつ探していきたいと思います。

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